2016年11月10日木曜日

[090] Dominique Lawalrée - L'espace D'un Instant


Label: Editions Walrus

Catalog#: MT 101
Format: CD, Album
Country: Belgium
Released: 1989
DISCOGS

1 Petite Ouverture / Brief Overture 1:38

2 Marine 5:35
3 Rivages / Shores 3:27
4 L'ombre Des Couleurs / The Shadow Of Colours 4:27
5 From The Gardens...And From The Lakes 8:13
6 It's Christmas Time Again 3:00
7 Les Eaux Dormantes / Sleeping Waters 4:15
8 Harpsinotes 4:52
9 Bulles De Reve / Dream Bubbles 3:55
10 Voices 8:58
11 Deuxieme Chanson Sans Paroles / Second Song Without Words 1:25
12 Le Jardin Des Oliviers / The Olive Grove 12:32
13 L'espace D'un Instant / Each Passing Moment 1:38
14 Menhir 3:12
15 Ainsi S'en Va Le Temps Qui Fut / Thus Passes The Time That Was 5:45

11枚のアルバム後に発表された、Dominique Lawalréeの初めてのCD作品。「ようやく」と言いたい。デジタルサウンドで記録されることで、彼の全ての音楽を特徴づける静寂と沈黙をよいコンディションで聴くことができる。シンセサイザーのための60を超える中から選ばれたこれらの楽曲は、ピアノやオルガン、オーケストラ、室内楽、声楽のアレンジと並行して、84年から89年までの間に作曲された。彼のシンセサイザー作品は、このアルバムで初めて披露される。Lawalréeのアプローチは、クラシック音楽のトレーニングから確かに影響を受けており、特別にシンセサイザーを使った今作でも聴くことができる。彼はそれぞれの作品をパーソナライズするために、1つの作品に対し1つの楽器を使用することで、技法やテクノロジーのスパイラルに陥ることを避けている。それは彼の音楽のもつ性格を忠実に支えている。音楽で勝負を争うような技巧的基準の全てが排除され、リスナーの心に直接響く音楽の詩性を、新しい観点から啓発している。彼の音楽を「ミニマル」と考えるなら、それはサン・マルコ修道院にあるフラ・アンジェリコのフレスコ画の様式に通じるだろう。マテリアルの簡素化による無垢の探求と、パターンの繰り返しによる目的の拡大。必要に応じて、コンポジションにほとんど影響を与えないように楽器は置き換えられ、その多様性は音にリンクする(特に、構造と発想の点で頻繁に欠点が示されるシンセサイザー音楽の分野では)。トーナルまたはモーダルなハーモニーはロックの影響を通過したものだが、独自の語法とシンプルで真っすぐな態度によって、彼はまさにアカデミックな前衛音楽作曲家から遠く離れた宇宙にいる。新たな人間によって生成されない限り、音楽は刷新されないと彼は考える。これは、シンセサイザーやリズムボックスの技術的な手軽さを拒否する理由であり、シーケンサーの使用も最小限に抑えられている(グレートブリテンの湖に感化された "From the Gardens... and from the Lakes" で例外的に使用されている)。このように全ての楽曲は演奏され、直接レコーディングされた。スコアよりもコンサートやレコードを多く発表するロック・ミュージシャンの在り方に影響を受けていることは、彼がシリアス・ミュージック界の象牙の塔(芸術至上主義の閉鎖社会)のノウハウの影に隠れずにいる理由でもある。この信念に基づき、彼は自身の音楽宇宙と忘れられない時間を、より深く、ありのまま聴いてもらうために、理解のある控えめな観客を招いてプライベート・コンサートを行っている。精神的に強く、熱心に、宣伝の仕方に一切の妥協をせず、音楽が遠く広がりすぎないように注意深く見守っている。その目立たない性格を保つために。逆説的に言えば、彼の望む音楽的発展を意味し、世界中で演奏され、聴かれることへの願いでもあるだろう。 - Michel Waesmans


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